メルト

Open App

「とりとめのない話」

とりとめのない話をしよう。ある1人の少年の話だ。その少年は将来に不安を持っていた。「勉強だけしていて、将来幸せになれるだろうか」と。彼は学校が好きじゃなかった。理由はシンプル。学生でいる内は散々ルールや常識で縛り付けてきたくせに、学生じゃなくなれば勝手に見放し、「今までよく出来ました、それでは頑張ってください」と、まるで我が子を谷底に落とす獅子かのように突き放すからだ。少年は社会を憎んだ。やりたくもない事を強制してくる社会を。少年は家族を憎んだ。「自分の順番は終わった」と言わんばかりに自分たち10代へと気楽に想いを託している背中を。こんな皮肉があっていいことだろうか。本来、大人は子供に輝かしい未来を見せてあげるべきなのに、自分の叶わなかった夢を若者にぶら下げ、ぬくぬくと時間を浪費する。そんなことは、決してあってはならない。しかし、私たち子供に、社会を変える力などない。それくらい、世界はシンプルで滑稽なのだ。だから、青年は諦めた。この世界の道理を、大人になったら、〝自由〟という名の縛りに捕らわれてしまうという真理を。青年は抗った。「それでも最後に笑うのは僕らだ」と。

12/17/2023, 10:40:09 AM