一つの愛を尊び、十色の花を慈しみ、百の恵みを与えた
あなたの背は傷だらけ
青褪めた顔でいつも空を見ている
踏み付ける少女、石を投げる少年
目を逸らす老人、口元を覆う見知らぬ誰か
等しく捧ぐ仁に報いなどなく
剥がれた花弁は忘れられ、捥いだ枝葉は売り飛ばされる
あなたには何が残るのだろう
やがて根も絶え、消えてしまうのか
ならば射落とし、この手の内へ
あなたが百花を赦すなら、私はあなたを手折りましょう
ただ愛したかったのです
あなたのように、あなたのことを
光芒の園、陽だまりの泉
崇め奉られる神より清廉に、人知れずあなたは咲き誇る
この手がいつ縊るように伸びても、きっと赦すでしょう
柳のような腕を投げ出し、何も言わず微笑むでしょう
馬鹿みたいだ
喪失を恐れるぐらいなら、溺れる前に選ぶべきだった
離れることを、この指の向かう先を
間違わなければ、あるいは求めなければ
あなたが天に輝く円環へ帰ってしまいそうなどと
愚かな悪夢に恐れ慄くぐらいなら
初めから愛さなければ、そういられたら
廻る頭を擡げる先に
どれほど重ねても染まらず、変わらず咲く花がある
独りよがりの柵を壊して、あなたを見送ろう
握り締めた心臓から滴る泥は後で拭ってしまえば良い
煌めくあなた、ただ一つ赫灼たる光輪の子よ
阻むものなどない空を行け
薄明を裂き、燎原の火となる
あなたは自由に駆けてこそ美しい
(フラワー)
4/7/2025, 2:44:00 PM