月灯り

Open App

「見知らぬ街」

ここは何処だろう。
街灯に照らされたベンチに、1人座る僕。
辺りを見渡しても、
人っ子一人居ない街。
空を見上げたら、星達が寂しそうに瞬いていた。

遠くから誰かが走ってくる音が聞こえる。

「?⃞?⃞っ!」

誰のことを言っているのだろう。

「やっと見つけたっ!?⃞?⃞、帰ろう?」

僕に呼びかけているのだろうか?
あいにく僕の名前ではない。

「?⃞?⃞、?どうしたの?」

僕はそんな名前じゃないんだ。

「早く帰ろうよ、みんな探してるよ?」

家がどこか分からないんだ。

「あ、そっか。」
「?⃞?⃞は家から出たこと無かったもんね」

だから迷っているんだよ。

「もう大丈夫だよ」

何が?

「さっきはごめんね、」
「私が目を離しちゃったから、、」

お陰で外の景色を見ることが出来た。

「不安だったよね?」

不安なんてものじゃないさ。
思い切り走ることが出来て楽しかった。

「?⃞?⃞?」

僕はそんな名前じゃ、、
お母さんが付けてくれた大切な名前があるんだ。

「?⃞?⃞?大丈夫?」

僕はお母さんに会いたいよ。
でも、何処にいるかわからないんだ。

「私が窓を開けっぱなしにしたから、、」

外ってこんなに美しいんだね。

「?⃞?⃞、そろそろ帰ろっか」

僕には家があるんだよ。家族も、、
あれ、、家族、何処に行ったっけ、、?

「次からはちゃんと見ておくよ。」

あんまり見られたら恥ずかしいよ。

「?⃞?⃞、おいで?」

だから、僕はそんな名前じゃないんだよ?

ゆっくりと立ち上がって、彼女について行く。
尻尾を振って元気に見えるようにしながら。

「ポチ、家はこっちだよ。」

8/25/2025, 5:01:48 AM