Eiraku

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吹き抜ける風

自分の荒い息遣い。茂みを掻き分ける険しい音。
木の根を避けながら走り続ける足音。

ふっ、と冷たい風が頬を吹き抜けた。
その中には、暖かみの欠片もない。

鼻先が鋭く痛む。
何かがこぼれ落ちてしまう前に、私は暗い天を仰いだ。

11/19/2025, 3:12:21 PM