ずっとこのまま
そっとふれた世界の片鱗はきらきらと光を放っている。
隣にあなたがいる。それだけで世界が綺麗だった。
色彩が鮮やかで、この目に刻む一分一秒が美しくって。
「■■」
あなたがわたしを呼ぶ。抱き寄せられて、疾うに滅びたはずの心拍がその胸の下で拍動しているのを微かに感じる。
とくん、とくん。刻む鼓動はわたしと同じリズム。こうやってあなたの拍動にふれて生きていきたかった。
「……」
あなたは何も言わない。
きっとあなたも分かっていたのだろう。これがただの夢のなかに過ぎなくて、ふれれば壊れる儚いものだと。
それでも、わたしはあなたの温度に溺れて動けなくなる。
「ねぇ、ずっとこのまま夢を見させて」
あなたとふたり、もう二度と叶わない美しい夢の中で息をさせて。
1/12/2026, 2:10:14 PM