……ああ、そんなに擦ってはいけません。
目元が腫れて、うつくしいその蛍石が
見えなくなってしまう。
泣かないで。
いとしいひと
泣かないで。
私は、たとえ嵐が来ようとも
あなたの傍にありましょう。
そこが波乱と苦悩に満ちていようとも
絶え間ない悪意にこの身裂かれようとも
あなたの傍にありましょう。
大丈夫、あなたはひとりじゃない。
私がついていますから
もうなにも怖がらなくていいんです。
だから、どうか泣かないで。
あなたの涙を拭う手を払わないで
どうかこの手を取ってください。
▶嵐が来ようとも #76
7/29/2024, 10:35:07 AM