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合ってるかが不安になり、手は冷え切り、絶えず汗が流れる。そうすると「大丈夫?」と声をかけるやつがいる。
その人は外国人で親世代の女性である。カタコトが可愛く癒やし的な存在になっている。大丈夫じゃないと言えばどうなるのだ?何かしてくれるというのか?「大丈夫」を想定して聞いてるだろう。自分が安心したいだけの情緒由来の確認。幅広の二重に大きい瞳孔を此方へ向けて眉を下げる。マスクをつけているので目元の情報しかなく、余計に心配と同情で模した表情が目につき、そして鼻につく。
やめろ。私が惨めになるではないか。優しくするな。
そんな未熟で惨めな言葉が脳内でこだまする。
が、言えることはない。余計に眉を下げて瞳を潤ませて、被害者ぶられるだけなのだから。
親世代という年齢もあり、子供のように思われているのだろう。その優しさが私を惨めにさせるのだ。
また、その女は「ごめんなさい」とよく言う。
後ろを通る時や、ぶつからないのに掠めるくらいでも言う。いちいち謝らなくていいと思うが、こんな卑屈な考えをする自分と、カタコトの愛嬌のある礼儀正しい人ならば後者が好かれるのは明確である。
そうだ。私はきっと優しくされなくとも惨めであるのだ。
それを優しい人間のせいにしている性根の悪い人間なのだろうな。

4/6/2026, 10:19:04 AM