初心者太郎

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—二つの花束—

背丈の低い少年がやってきた。

「この花たちを花束にしたいです」
「はい、わかりました」

小さくて、色とりどりの花を少年は選んだ。
頬を赤く染めて、彼は続けた。

「僕は読み書きができなくて……、カードを代わりに書いてほしいです」
「もちろん、いいですよ。どんな言葉を書きましょうか?」

彼の表情がパッと明るくなる。
私は、彼の言葉をそのまま、綺麗な文字で書いた。

『お母さん、いつもありがとう!』

私は、白い紙で丁寧に包み、カードをちょこんと乗せた。
代金を払うと、その少年は、元気に店を去っていった。

それからしばらくすると、背広姿の若い男性が来店してきた。

「この花束をください」
「ありがとうございます」

彼は、この店の中でも、高価な花を選んだ。
なぜだか、彼は暗い表情をしている。

「カードはお書きになりますか?」

私がそう訊くと男性は頷いたので、カードを一枚、机に差し出した。

「これで許してもらえるかな……」

彼は、小さく独りごちた。

『ごめんなさい』

私は、花束を丁寧に包装する。
男性は支払いを済ませると、花束を抱えてとぼとぼ店を出ていった。

レシート入れにある、二枚のレシート。
安価な花束と、高価な花束。

だが、花束は『数字』じゃない。
どんな『想い』が込められているか。
大切なのは、たったそれだけ。

彼らの気持ちがうまく伝わればいいな——。
心の中で、私はそう呟いた。

お題:花束

2/10/2026, 2:34:48 AM