Tanzan!te

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Episode.24 カレンダー


何気なくカレンダーを見る。
予定は何も入っていない。

何も入ってないが何もしていない訳では無い。
カレンダーに書くのが面倒なのだ。

書かなくたって忘れないし、スマホが知らせてくれる。

予定を入れるのも当日から3日前程だ。
理由は単純で、当日よりずっと前に決めると後で行く気が失せてしまうし、前日は準備が間に合わないからだ。

まあ、こんな面倒な性格のせいか友達は少ない。
いるだけ感謝せねばならないのだが…。

その唯一の友達である彼女とは気が合う。
俺に何かを求めてくる訳でもない。
会った時は喫茶店巡りをしたり、バーで話したりする。

ある日、仲の良いバーテンダーも含めこんな話をした。

「わたしさあ、最近カレンダー買ったんだよね〜。
 こんな時期に?って言われそうだから来年用の買った
 し、来年までは使わないけど」

「カレンダーか…あ、俺も毎年母親が送ってくれるや
 つ、一応置いてるよ」

「あら、2人ともカレンダー派になったの?
 あたしなんてスマホで済ませちゃってるわよ」

「なんでカレンダーなんて買ったんだ?」

「うーん…今まではさ、スマホで解決するしいいや!っ
 て思ってたんだけど…自分の手で予定書き入れるとワ
 クワクするの!より記憶にも残るって言うか…」

「…よく分からんな」

「あたしもカレンダー買っちゃおうかしら」

より記憶に残る、ワクワクするだんて俺にはよく分からなかった。

でも何となく、ただ気が向いたから3日後の予定をカレンダーに書き入れてみた。

「おー…?」

やっぱりよく分からなかった。

次の日、何となくカレンダーを見る。
そこには昨日書いた遊びの予定があった。

あと何日、誰とどこで遊ぶんだ。
そう自覚させられた。

その時初めてわかった、少しだけワクワクした。


デジタルじゃなくて、アナログでも良いことはあるんだな…

9/11/2023, 1:55:24 PM