混ぜ合い、溶けて新しい色ができる。
人と人の出会いや別れは色を混ぜ合わせるようで鮮烈だ。
人は最初から真っ白なキャンバスなわけじゃない。しっかりとした鮮やかな下地を持っている人もいれば誰かと交われば直ぐに染まってしまいそうな程に儚い下地を持った人もいる。
"その下地にパレットの上で得てきた色を自分なりに混ぜ合わせて好きな色を作っていくの。
それぞれが、誰かから得た美しい、自分にとっての大切な色を大事にしながら。
人生ってそんな感じな気がする。"
いつかの君にされた話を思い出す。
彼女のキャンバス上に塗られた私の色が占める割合は、どのくらいなのだろうか。
きっとそれは、友達の範疇を超えることは無いと思う。というか、彼女のキャンパス内で私が、友達以外の形を持つことはこれからもない。
だって、彼女にとっての鮮烈な色は、彼女の隣にいるパートナーの彼でしかないのだから。
事実を目の当たりにして考えると、私には彼女は届かない存在であることを思い知らされるばかりで、より一層虚しくなる。
皮肉な事だ。
私のキャンバスには、思わず目を引くほどに、あなたの色で多くの部分が染っているというのに。
友達の範疇なども超えるほどにあなたの色はも私の網膜に焼き付くほどに美しい。
それほどに、あなたは私にとって鮮烈だというのに。
あぁ、寂しいものだ。私は一生、あなたの一番好きな色にはなれないのだから。
―――あなたの好きな色
お題【好きな色】
6/21/2024, 3:49:56 PM