無人

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今日の空模様は晴れ。青い空が綺麗だった。昨日はそれに薄紫の雲が緩くたなびいていて、白と青と青が混ざる薄紫が不思議な美しさを醸していた。絵画にでもすればとても映えるだろうにとも思ったが、最近の絵には白くない雲と青空の組み合わせはとんと見ない。あの妙な不思議さ、重ねた着物のようなあだっぽさが美しいというのに、最近の人は空に清廉さしか求めていないのだろうか。そういえば、一昨日は低く暗い雲と高い白い雲が浮かんだ空に飛行機が飛んでいた。飛んでいた飛行機が妙に物珍しくなってじっと見つめていたら、それは黒い雲に突っ込んで見えなくなってしまった。真っ暗で低い雲には物凄い風と雷、強い雨が吹いて飛行機を壊してしまうんじゃないかとハラハラして、目が離せなくなっていたが、数十秒をかけて飛行機は何事もなかったかのように出てきた。私はほっとしたが、どうせなら白い雲に突っ込んでいてくれれば、こんなハラハラした、誰かの命が尽きる瞬間を見てしまうかもしれないという焦燥感を覚えなくて済んだだろうにと理不尽な恨みを持った。
だが、今日は晴れだ。ただだだ清廉なだけの大衆の好みそうな晴れだから、私は空に心乱されなくて済むだろう。部屋からでず、曇り窓ごしでしかみていないから、今日は普通の譜面通りのみんなの理想の晴れの日であるに違いない。

8/20/2021, 4:56:03 AM