私たちは記録していく。
子どもの丸い頬を、ぐんにゃりと溶けたポーズの猫を、芸術品のようなパフェを、帰り道に山を赤く照らした夕焼けを。
カメラで、スマホで、SNSに綴る言葉で、なんとか残そうと毎日足掻いている。
そんなのはとても儚いものなのに。
データが壊れたら、アカウントが凍結されたら、SNSを辞めたら途端に全て消えてしまうものなのに。
まるで一夜の夢のよう。
まるで空を吹き抜けていく風のよう。
だけど、私たちはやめられないのだ。
写真に撮り、文字で綴ることを。
何故?──それはきっと。
一瞬の夢が、時には心の支えになることを知っているから。
吹き抜ける風が飛ばした種が、どこかで芽吹くことを知っているから。
今日も私たちは記録していく。
子どもの言い間違いを、毛布と一体化した猫を、いい色に揚がった唐揚げを、空に落書きしたみたいなかすれた雲を。
膨大な記録に背中を押されながら、人生を歩いていく。
2/26/2025, 11:50:03 AM