題 つまらないことでも
つまらない、つまらないよ〜!
私は机に伏せた。
「ねぇ?何この自習課題。先生正気かな?単語永遠に写すの終わらないんだけど」
「ねー?私もそう思う」
面倒くさそうに前の席に座る親友の葉子が振り向く。
「もー頭が停止して今すぐ睡眠の世界に誘われるわ」
「分かる。あーー、もうっ」
私は一語一語丁寧に単語を写しながら抗議の声を上げた。
「まぁまぁ、こうして書いてる時に、いろいろ考えると楽しいよ」
隣の席から陽気な声がした。
私はうんざりして隣の席に視線を移す。
いつも賑やかに友達と話してるお祭り男、鷹人がこっちを見てた。
「いろいろ〜?!」
不審な目で鷹人を見ると、鷹人は笑顔で私に畳み掛けるように言う。
「うん、そうそう。単語を頭でイメージするとかさ、単語の発音を歌にしてみるとか♪」
楽しそうに言う鷹人の言う言葉が意外にまともで、私は意外に思って聞き返す。
「歌?鷹人って歌にしてるの?単語写しながら?」
「そうだよ、ただ写しててもつまらないじゃん。いつも楽しくできないかなって考えてるよ」
「へーっ」
私は鷹人を少し見直していた。
「そうだね、そうやって覚えるのはいいかも、私もやってみようかな?」
「本当?じゃあ、この単語はどー歌う?」
鷹人の楽しそうな笑顔に私まで笑顔になってしまう。
「えーとね〜」
「なになに?楽しそう・・・」
前にいた葉子が振り返って私たちを除きこむ。
そうして・・・。
クラスに派生した英語ソングの大合唱に、隣のクラスの先生が怒鳴り込んできて大目玉を喰らったことは言うまでもない。
8/4/2024, 1:47:48 PM