有郷令子

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神様が舞い降りてきて、こう言った。

「あなたの力になります」

神を信じない私の前に現れた神は、男性なのか女性なのかわからない風貌で背が高かった。
白い布をまとい、金色の髪は腰の辺りまで伸びていた。
想像する神様の通りだと思い、同時に不信感で寒気がした。

「神が私の願いを叶えたところで、私に何のメリットがあるというの?自分の力ではないのに何か喜ぶことが起こるの?」
「あなたのお母さんの病気を治しますよ」

神は、抗がん剤治療中の母の癌を消すことができるという。神は得意げな顔をしたのでイラッとした。

「神に振り回される人生ですから、力になると言われたところでまた振り回される。運命は私が決めます」


7/27/2023, 2:13:57 PM