鶏が頸を落とされて、夜の祝いのために軒先に掲げられた。
看護婦に揺らされ叩かれて、赤ん坊がようやく泣き声を上げた。
幼い妹の手を掴んで引きながら、煙と火の匂いのする中を何時間も歩いた。
逃げ水の見える猛暑のなか、日陰の中に自販機を見つけてスポーツドリンクを買った。
のんびりと泳ぐ魚が触腕に触れて、あっという間に口の中へ引き摺り込まれた。
赤い夕日が落ちる最中、巣穴にネズミが逃げ込み、そのあとに狐が顔を押し込み、息を吹き込んだ。
溶けた氷がからりと音を立て、風鈴が涼やかに鳴った。
吹き荒ぶ雪から逃れて穴の中へ身を潜らせ、チョコレートを齧った。
チョークの粉が舞い散って、馬鹿にするような笑い声がけたたましく教室の中に響いた。
数秒前にビルだったものは今や瓦礫になって、全身が千切れたように痛んだ。
家のベッドで横になり、スマートフォンの画面を見ている。
#ここではない、どこかで
4/16/2023, 10:46:33 AM