一夜にして
何故か消えた星図。
私たち「星屑管理局」は
天体・星座などの全てが記された
星図がないと
仕事ができない。
そんなわけで
今回特別に捜査部隊が作られ
そこに私が入っていた。
星図を探す旅のようなものの方が
パソコンや画面をカタカタ打つより
私には合っているかもしれない。
両手に収まりきるほどの
星図を世界から探すのは
とても困難だった。
海に落としたコンタクトを見つけるくらい。
途方もない年月が必要だろうと
私の先輩は言っていた。
辞退しようかとも思ったが、
星図は星屑管理局にとって
中心であり、核だった。
それが無くなったとなると
管理局は役目を失う。
仕事がない職場で
グダグダ星図を待つより、
探しに行った方が早いかもと
何故か思った。
山を超え、海を渡り、
たくさんの人と出会い、別れた。
たまに小さな星屑管理局に立ち寄っては
物資を貰っていた。
捜査部隊らの絆は深まり
私もこの現状に満足していた。
しかし、
そんなほのぼのとした捜査の日々を
一気に変えてしまう無線が流れた。
ジーッ…。ザザッ……。
えー、星屑管理局特別捜査部隊の皆に告ぐ。
星屑管理局は潰れた。
これ以上星図を待っていられない。
もう星図は消滅した物として扱う。
星屑管理局特別捜査部隊の皆も
至急、本部へ戻るように。
ジーッ…。プツンッ…。
今までの私たちは
何のために歩いていたのか。
その答えが星図ではないと
今わかった気がした。
きっと私たちは
仕事が遅かったり、出来なかったり、
管理局で浮いた存在だったんだ。
そんな人ばかりが捜査部隊に入れられたんだ。
厄介な人を払うために。
"Good Midnight!"
本部へは戻らなかった。
失業者として扱われるのが
目に見えているから。
私たちは星図ではなく
居場所を探し求めて歩いている。
きっと星図のように
どこかにあるはずだから。
10/16/2025, 3:41:35 PM