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『雪』

雪を見ると、必ず思い出す話がある。

私の誕生日は1月。

私が産まれる際に両親は、
男の子なら父が決めた名前を。
女の子なら母が決めた名前を。
そう決めていたらしい。

そして、私が産まれ命名権は母に渡った。

母は娘の名前に
産まれた季節の季語を含みたいと思っていた様で、
1月に誕生した私の名前は冬に因む流れとなった。

様々な候補が挙げられ、
最終的に子の名前は「雪」と決まったそう。

後日、両親は出生届を提出する為に役所へ向かい
出生届を提出する運びとなった。

しかし、その際に母がとんでもない事を言い出す。

出生届を記入している最中に
名前を変えたいと言い放ったらしい。

これには流石に
父も困惑したと聞いている。

次に、母が言い放った名前に
父は賛成せざるおえなかったというのも原因である。

母が自身の希望を取り下げて
変更したいと言い次に挙げた名は
父が案として挙げていた名前だった。

その名前に季語は含まれていない。

何度も確定する父に母は
「透き通った名前で好き」
「女の勘」と言い放ったらしい。

数年後、小学校の宿題で
名前の由来を聞いた時に「女の勘」と
聞いた時には唖然とした記憶がある。

しかしさらに数年後、
その勘は思わぬ形で実現する事となる。

父親の急死。

幼い私には余りにも大きな出来事だった。

しかし私は、
"自身の名前には父が宿っている"
そう思ってその後を乗り越えられた。

母の勘。

私にとって、余りにも偉大な出来事が
成し遂げられていた。

余談。

ここだけの話、もし私に子供が出来たなら、
"ゆき"を含めた名前をつけようと思っている。

1/7/2024, 7:09:08 PM