於菟

Open App

「やっほー、また来たよ」
『君は懲りないなぁ笑笑』
微笑みながら向かってくる彼
僕に毎日飽きもせず会いに来る。
もうかれこれ1年、、かな?
「元気?」
『あぁ!元気ピンピンさ!』
「ご飯はちゃんと食べてる?」
『君は僕の母親か???
まぁこの話は置いといて....』
「どうせ君のことだ...何も食べてないんだろ?」
『....何故バレた』
何故か昔からこいつに嘘は通じない。
どんな事も彼にはお見通しという訳だ笑
「今日は落ち葉拾いをしたんだ。」
『それはご苦労な事だ』
「それもこれも、君が植えた
でっかい木のせいだからな??」
『あれまぁ』
「それなのに君と来たら...手伝いもしないなんて」
『そんなに怒らなくていいだろう??』
そんなことを言えば
急にふふっと笑って
「それじゃぁ、まだ家に落ち葉が残ってるんだ、
帰るよ」
『もう帰るのか...気おつけて帰れよ』
「寂しがらなくたって、また来るよ」
僕の名が書かれた石に手を置いて
彼は悲しそうに笑った。
『(寂しがってるのはどっちだよ....)』
去っていく背に手を伸ばしたが、
無様にもすり抜けてしまった。

『もう君に触れることさえ出来ない....』

10/10/2025, 1:57:15 PM