たーくん。

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空に塗り潰されたミッドナイトブルー。
見ているだけで、身体ごと吸い込まれていきそうだ。
空を飛んで帰りてぇ……。
俺は残業で終電を逃し、徒歩で家まで帰っていた。
深夜の道を歩いていると、気分が下がるし何かが出てきそうだから、夜空を見て気分を明るくする。
星達が夜空に散らばっていて、小さいけど力強く輝いていた。
俺も職場で星のように輝きたいし、出世したい。
だが、いまだに輝けずに上司や取引先にペコペコと頭を下げている。
いつになったら出世出来ることやら……。
そんなことを考えていたら、だんだんと気持ちがブルーになってきた。
もっと前向きに考えて──。
「ヴッ!」
全身に、痛みが走る。
空を見ながら歩いていたから、電柱に気づかず、ぶつかってしまった。
少しふらつき、後退りしてしまう。
……やっぱり、前を見て歩いたほうがよさそうだ。
電柱にぶつかった時に頭から出てきた星を掴み、大きく振りかぶって夜空に投げた。

8/22/2025, 11:55:09 PM