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本日のテーマ『もしも過去へと行けるなら』
そんなの決まっている。
過去にやらかした自分をブン殴ってわからせるために俺は過去へと戻る。
バカは殴らないと理解できないのだ。
と、いうことで早速、過去へと戻ろう。タイムマシンに乗って。

最初に俺が訪れたのは当時17歳であった高校生の俺の世界。
真面目であることや熱い思いを口に出していうのがダサいと思っていて、本当はとても元気なくせにいつも気だるげな雰囲気を出していた17歳の俺の様子を覗う。
0時を回った深夜、ヤツは実家の自室で思い悩んでいた。
その日は3月14日…ホワイトデーだった。
ホワイトデー、それは……
一般的にバレンタインデーにチョコレートなどをもらった男性がそのお返しとしてキャンディ、他にもマシュマロ、ホワイトチョコレートなどのプレゼントを女性へ贈る日とされている。
17歳の俺は小癪にもバレンタインデーに女子生徒からチョコレートを貰っていた。そして、生意気にもホワイトデーにそのお返しとしてデパートで少しお高いをクッキーを購入していた。
だが、バレンタインデーにチョコを貰った返礼として女子生徒にクッキーを渡すのを躊躇っているようだった。
なぜか……?なぜだろう……?
今の成熟した俺なら迷わずクッキーを渡す。「あの時はチョコありがとね~。いやあ、美味しかったよ。これ、お返し、ほい」ってなもんだ。
しかし精神的に未熟極まりない17歳の俺にはどうしてもそれができなかった。たぶん、恥ずかしいのだろう。女子にお返しとしてクッキーを渡すのが。だからこそ、ホワイトデー当日の深夜になってクッキーを女子生徒に渡すか渡さないかなんていうどうでもいいことで真剣に頭を悩ませているのだ。
もう既にクッキーを購入しているのだから渡せよって話だが……
「はあ……」
諦めたかのように溜息を吐いてクッキーを自分で食べようとする17歳の俺の前に、今の俺が窓を突き破って颯爽と現れる。
「あほか!お前は!」
17歳の俺の顔面に容赦なく右ストレートをぶっ放す現在の俺。
「ぐはああ」とぶっ飛んで何がなんだか分からないといった表情でキョトンとしている17歳の俺に向かって説教をかます。
「いいか、よく聞け! お前が勝手に感じている恥ずかしいとか周りから茶化されるかもとか、そういう心配は二の次なんだよ! 大事なのはお前にチョコをくれた女子への……」
だが大事なところを伝える前に俺の体を青白い光が包み込む。気が付くと俺は現代のボロアパートへと戻されてしまっていた。おそらく歴史を変える可能性があったのでタイムパトロールによって強制送還されたのだろう。

やはり過去は変えられないようだ。
今の俺がわけのわからないおっさんに急に殴られた記憶をもっていないのがその証明だ。
ならばどうする……
そんなのは決まっている。見据えるのは過去でなく、未来だ。
17歳の俺は自分のことしか考えていなかった。他人の気持ちなど、はっきりいってどうでもよかったのかもしれない。
今の俺は違う。人の気持ちを考えられる立派な大人になった。
だから、今から仕事に行く。『代わりに出てくれませんか?』と頼んできた後輩の気持ちに応えて!

7/25/2025, 6:24:44 AM