雪国の田舎ってこんなにつらいものなのか。別に甘くみていた訳では無いけれど。確か中学ん時の社会の先生が
「雪国の雪は災害級ですから!皆さん本当に舐めないでくださいよ!可愛いなんてもんじゃないから!」
って言ってたっけ。ここ最近は天気が不安定で吹雪いたり止んだりの繰り返しだったから冬晴れは珍しい。晴天って感じ。久々だな。早朝の冬晴れは何処か心地よくて童心にかえって雪遊びでもしてみたい気持ちになった。そして、彼女に凄く会いたくなった。
『おはよ。起きてる?』
すると返信はすぐに返ってきた。
『おはようございます。今雪かきしてる所です』
あ、そうか。この雪じゃあランニングもできないもんな。
『最近、ランニングとか出来てる?』
『様子みながらぼちぼちです。でも、転んだことあるのでやっぱりあんまりできてないですね』
『じゃあさ、僕の家の雪かきも兼ねて雪だるま作らない?運動にもなると思うし』
『雪だるまですか!?良いですね!行きます!』
こ、子供みたい!か、可愛すぎる、何この未知の生物。
『ん、じゃあ、今日どうする?午前だけいる?』
『あ、そうですよね。午後、諒さんは予定とかありますか?』
『ないよ、店は14日から開けようかなって思ってるし』
『じゃあ、1日います』
『9:00で良い?迎えに行くわ』
グッとマークのスタンプが送られてきた。というかくかくしかじかがありまして、今現在、部屋掃除をしています。でもよくよく考えると男の家に上がるって大人だとそういう意味になるけど・・・。いや、でもさすがに僕も常識はわきまえてるつもりだし、彼女の事を大切にもしたいし、となると僕の理性次第ってことになる。
彼女が家に来て、午前中は2人で巨大な雪だるまを作った。2体分。何処か大人びている彼女も大人の僕も子供のように笑って楽しく過ごした。
午後は2人でソファに座って映画を見た。彼女が手作りのクッキーを持ってきてくれて優しい味にこれまた惚れ直した。少しすると彼女が睡魔と闘っている様子が伺えた。僕に寄りかかって
「諒さん…映画観たいんですけど、睡眠の悪魔が邪魔してきます」
「眠いなら寝た方が良いと思うよ。成長期だし無理は良くないよ。それに部活も頑張ってるんでしょ」
「うぅ…でも諒さんと居たいから寝るのを耐えます」
可愛すぎて頭が飛ぶところだった。彼女の口数が減り、気づいた時には寝息に変わっていた。僕は彼女をベッドまで運び、隣で寝顔を眺めてた。そうしている間に僕も眠くなって、彼女の隣で抱きしめながら昼寝をした。
何か温かい体温が僕の頬に添えられて、頭を撫でられて、僕は目を覚ました。目の前で、彼女は既に起きていた。
「あっ諒さん…えっと…その…」
「嬉しいなー。今日の蓮ちゃんは積極的だね〜」
恥ずかしい…と言いながら僕の胸に顔を埋める彼女。僕の理性を保つ糸が今にも切れそうなほど可愛くて愛おしかった。
冬晴れ。天気1つで僕は彼女に今日も会えた。あぁ、こんな愛しい日々が続きますように。こんなに可愛い彼女を誰も僕から奪いませんように。
題材「冬晴れ」
1/5/2025, 12:53:27 PM