浜崎秀

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「ただいま」
答える者はいない。
「一人暮らしは危ないから」
始まりは母に言われて仕方なく。正直馬鹿げてると思ってる。外から見てもわかる。この広さで同棲は無理だ。引越しで貰った男用の下着も去年捨てた。訪ねてくる友達はいない。両親も遠くにいる。

私が死んだらどうなるのだろう。隣人が腐臭で気付くだろうか。両親が怪しんで様子を見にくるのが先かも。

素敵な人と出会って、恋をして家庭を持つ。思い描いていた未来は、画面の向こうにしか存在してなかった。多分この先も。

仕事に行って、帰ってくる。たまに外出。会話するのはスーパーのおばちゃんと、宅配便の人だけ。それが私の人生だ。

「いってきます」
今日も声をかける。誰もいない部屋に。

『静寂に包まれた部屋』

9/29/2022, 12:38:52 PM