未知の交差点
「……こちら第十七区交通管理局、コードネーム『カシスオレンジ』。南南西方向への道路及び建造物らの新規拡張を確認しました、オーバー」
『そうかい。探索をしなさい、アウト』
一方的な命令、一方的な切断、一方通行の道路車線。
もしもクルマで来ていたらこの道は進めなかっただろうと、アスファルトを爪先で叩く。
白昼だというのにこの街に人は交通管理局メンバー以外は存在しない――否、存在してはいけない。
未知へ繋がる交差点の中心にて、任務遂行という重荷を背負い直す。
一歩でも先に進めば、超常現象やヒト型の何かに遭遇するだろう。だが、私は怖じけることはない。
何故私がP90ではなくP50を使うのかと同じだ。『カシスオレンジ』という人物は逆張りばかりの人間だ。有名な短機関銃よりも同じマガジンを使うだけの異様な拳銃を使いたがった。就職も、安全かつ高給取りの第七区投資提案部に行けたはずなのに、この危険な仕事を選んだ。
相対するのは恐怖、そして未知。だからこそ模索すべきだが、逆張って既存手段である暴力を使う。
無知も、未知も、恐れるに足らないからだ。
逆張りに満ちた人生に乾杯をし、道路の真ん中を歩いた。
10/11/2025, 5:30:21 PM