小1の頃、好きだった娘はいた。名前も今でも覚えてる。漢字で書ける。
けど、それは何となく自分で思い込んでいただけで、何のアクションもとらなかったし、想い焦がれて煩悶した、などという記憶もない。
これは昭和40年代1965~74年くらいの話となるが、我が家では父母から一切の性教育を受けた覚えがない。(他家の事情は知らない)
昭和のテレビ番組では、女性の裸を結構見せていたし、濡れ場も大胆だった。茶の間で家族でテレビドラマを見ていて、そういうシーンになると気まずくなるという、シチュエーションはよくあった。
時々行く銭湯には、堂々と日活ロマンポルノのポスターも貼られていたと思う。
でも、私は性に関する知識がほとんどなかったのだ。そうと知ったのは、小6とか、中学に入ってからだった。
だから、女の子と話をした記憶すらほとんどなかった。奥手も奥手だった。
中学の時、私は水泳部に入った。水泳部は人気はなく、私を入れて男子6人、女子3人だった。
その女子の中の1人が、1学年上だったが、可愛くて、優しくて好きだったが、
それとても「いいよなー」と何歩も離れた所から見ていただけで、ほとんど話もしなかった。
ある日、部活が終わって帰えろうとすると雨が降って来て、
その先輩は傘を持っておらず、帰り道が同じだったので、図らずも相合傘で帰る事になったのである。
中学から家までの道のりは結構長いのであった。
しかし、先輩は静かな人だったし、私も年上の女性に提供する話題が見付からなくて、何も話せず、
それでも気まずいから、何かどうでもいい事を話したような気もするが、ほほ、お互いが無言で歩いていたのであった。
本当は嬉しくて、ドキドキしていたのだが、何もせず、家に送り届けて、絶好の機会は終わってしまった。
いや、絶好の機会も何も、もし間違って仲良くなれたとしても、当時の私では何も出来なかったから、
やっぱり関係は続かなかったと思う。
あれで良かったのだろう、奥手の男の子を哀れと思し召し、神様がくれた贈り物のような、青春の、貴重な一コマだった。
5/8/2024, 1:14:57 AM