ぽつぽつと弱い雨が、病室の窓から降ってきていた。
その雨さえも愛おしいかのように笑う君に、明日の保証はない。
彼女は告げられた期限をとっくに越していたからだ。
…だんだんと細くなる指も
だんだんと弱々しくなっていく声も。
赤く腫れた目元にも、
私は全部気付いていた。
君も知っているのだと分かっていた。
だから私は未来を話す。
君の見れない未来を話す。
「明日、もし晴れたら。花見に行こう」
そう、確証のない未来を話す。
その瞬間だけでも君が未来を見れるように。
…その瞬間だけでも君が未来を生きれるように。
私は今日も口を開いた。
明日、もし晴れたら。って。
8/1/2024, 3:06:32 PM