おきゃがれこぼし

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砂時計の音

 その小さな砂時計は、ちょうど3分で終わる。まるで、小波が浜辺に打ち寄せては返すかのように、さらさらと流れるその音は、心地よいリズムとなって、砂時計を逆さにする度に、僕の耳に届いてくる。

 誰が買ってきたのかは忘れたが、白い木製の小さな砂時計がウチにはあった。砂は色鮮やかなピンク色をしていて、とてもキレイだなとそんな印象を受けた。

 ちょうど3分で終わる砂時計。ここまで記すと、勘のいい方はお分かりかもしれないが、3分とはカップ麺が出来上がる時間。お恥ずかしい話で、砂時計にも申し訳ないのだが、そんなキレイな砂時計もいつしかカップ麺のために使われるようになっていった。

 あの小さな砂時計はもう無い。いつどこで無くしたのかさえわからないけど、色鮮やかなピンク色だけが、今も目に焼きついている。

10/17/2025, 10:23:30 AM