るに

Open App

私が生まれた村は
おかしな村だった。
赤いアクセサリーをつけた
毎年決められた家の子どもを
大樹に生贄として捧げ、
豊作を願い、
病が治るよう願い、
幸せを願った。
小さい命を犠牲に。
赤いアクセサリーをつけた子どもは
6歳から村の一番端にある
地下の実験室に通うことになる。
そこでは病を治す薬の投与実験、
未知の実の毒味実験、
薬と薬を混入させる変異実験、
薬物を打たれ症状を観測することも
あるんだとか。
そうしてボロボロのまま
12歳から16歳の間に生贄となる。
良くないものが身体に入っている者を
生贄として捧げて
何が願いを叶えてくれ、だ。
なんて思っているが、
私の耳には赤いピアスが
生まれた頃から付けられていた。
何度も実験台にされ、
その度に死にたいと思った。
だけど不意に現れたその人は
外は広く美しいと、
その村から連れ出してくれた。
幸い後遺症はそこまで酷くなかった。
ああ、そうそう。
外ってのは眩しくて
知らないことだらけだった。
助けてくれた人は
私に色んなことを学ばせた。
そして暖かい暮らしを教えてくれた。
私はそれを受け取って
これからの糧にした。
教会に入ったこともあったけど、
教えられたことはどれも、
助けてくれた人が毎日1つずつ
話してくれることだったので
すぐ辞めてしまった。
そのうち助けてくれた人は
不治の病にかかった。
私を置いてまだまだ世界を見るんだと
助けてくれた人は言っていたが、
私はずっとその人のそばにいた。
私は言った。
救ってくれてありがとうって。
あなたに出会えたから
生きててよかったって思えたって。
だから今は少しの眠りについて、
また私を救いに戻って来てって。
"Good Midnight!"

7/31/2025, 4:16:42 PM