そこに。
言葉はいらない、ただ・・・触れるだけでいい。
ただそれだけができれば。
このゲームは終われる。
「ぎゃー!? 何か毛があるっ! モフっとした感触がある~!」
「大丈夫だって。危ないものは入ってないから」
「絶対だな。その言葉、信じるからな!」
出題者は椅子に腰かけながら優雅に頷いている。
私は再び箱の左右側面にあいた穴に腕を突っ込んだ。誰だよ。文化祭の出し物に中身当てクイズなんて案を出したの。
早く終わらせたい一心で、私はとうとう覚悟を決める。生物なんか入ってたら目の前のこいつを殴ってやろうと、固く心に誓いながら。
【言葉はいらない、ただ・・・】
8/30/2023, 4:04:34 AM