懐かしく思うことなんてもう無い
なぜなら、会いたくてたまらなかった彼女がこの世界に来てくれたから。
『…私が来た、なんてね』
「!…っ…」
涙が溢れて止まらない、今声を発しても情けない声が出るだけだ。もう夢だとしてもいいと思った。
これが走馬灯だとしても構わない。また彼女に会えたから。
「!?誰だ…なぜ俺たちを助ける?」
「でも、ありがたいですよボスキさん!!とりあえず、話は天使を片付けてからです!!」
2人の声が遠くに聞こえる。
『この白いのがこの世界のヴィラン、なのかな?』
けど、彼女の凛とした声はハッキリと聞こえた。
「そうっす、俺たちの世界の敵…天使っす」
答えると彼女は俺を抱えて安全な所に一瞬で運んだ。
『待ってて』
そう告げる彼女はとても頼もしくて、思わず気が抜けてしまいそうになったが、慌てて気を引き締め直す
「天使の攻撃を受けちゃダメっす、跡形もなく消えるんで…」
『うん、わかった』
「俺もっ…」
『今だけは、守らせてよ』
せっかく君の世界に助けに来れたんだから
呟く彼女の目は少し潤んでいた気がした。
10/30/2023, 12:02:01 PM