次の街に向かっている途中
雨に降られて洞窟へ駆け込み
安全な事を確認し
そこで雨宿りをすることにした老爺と少女
任務の途中
倒した魔物が落として行った一定量のものをしまえる袋から
2人分の毛布出し、焚き火でも温まりながら
ご飯を食べ終え、ゆっくりとした時間を過ごしていた
「……お兄ちゃん、眠くなってきたから先に寝るね」
「ん。今日も疲れたよな、おやすみ」
パチパチと木が燃える音
ポツポツと地面を叩く雨音
ゆっくりと過ぎていく時間に
老爺―少女の兄は眠っている少女へと顔を向ける
静かに眠っている少女に安堵して笑みをこぼす
皺の多い自分の手が目に入る
本来であれば20代の姿であるはず
その手は見る度に胸が締め付けられる
呪いはどうすれば解けるのか―
呪いをかけた魔族が誰なのか
この呪いの影響なのか、精神的ダメージなのか
一部記憶の欠落により情報を集める事もままならない
「……ふぅ」
今悩んで仕方ないと、暖かい飲み物を用意し
深く息を吐き出して目を閉じる
気持ちにわだかまりができた時
父母の笑顔と平穏に過ぎていった日々のこと
もうその時戻ることは出来ない
残された力で守れるのであれば
兄にとって特別な存在は
何を犠牲にしても…なんてことは考えてはならない
これ以上に自分も含め
無くならないように
[特別な存在]―「2人きりの旅」老爺(兄)視点より―
3/24/2024, 5:02:30 AM