「本当にどういうつもりなのかしら」
「だって、いつも私の邪魔をしてくるのよ」
そうぼやく貴女は、いつもどこか楽しそうだった
端から見れば恋人への愚痴に聞こえるが
それがただの惚気であることを私は知っていた
結婚式はいつになるのだろう
貴女の話を聞きながら、毎回そんな風に考えていた
だから、彼の訃報が届いたとき
それが現実であると信じたくなかった
月のない夜、貴女は私を呼び出して
隣に座って、ただ夜空を眺めていた
「あの人はどこまでも私を苦しめるのね」
静かに呟く貴女は泣いていた
貴女の左手の薬指には
眩いほどに輝く綺麗な指輪がはめられていた
10/13/2025, 5:00:59 AM