新しい地図。
ダンジョンのフロアを降りるごとに新しい地図が更新されるゲームがある。不思議のダンジョンシリーズとか、ローグライク? そんな類のゲームジャンルがある。僕も買ったことはある。が、勝ったことはない。チュートリアルダンジョンと初心者ダンジョン位がちょうどよい。ミーハーなのが裏目に出てしまっている。
あれは、今にありがちな「既成地図」ではなく、未知の暗闇のつもりの黒背景の紙を持っていて、道を歩いて更新するタイプになる。最初はほとんどの空白が黒く塗りつぶされている。
白インクを垂らしたように、現在地だけがぽわっと明るい。マッピングされていない。これが新しい地図というものだろう。
道の先がわからないのは不安だ。それにダンジョンに来ている。魔物の巣窟だ。自分が1マス動くと、魔物たちも1マス動く。戻ることも可能だが、足踏みもできる。だが……それをやりすぎると、囲まれる。魔物は集団だ。知能もある。気の迷いは心の迷い。剣の迷い。
今わかっているのは、十文字に切り裂いた先は薄っすらとしていて、どれを選んだとしてもよくわからないということ。こうして暗く淀んだ未知の大地に足を踏み入れた開拓者は、手探りの状態で探索しなければならない。
決死の探索をして、財宝のあり方、飲水のあり方、下層へ行く階段の位置。それらを真っ白の相棒に描き込んでいく。深入りはせず、また次回と退散。地図とともに持ち帰る。こうして新しい地図とは、誰かによって汚されていく。経験が如実に表れ、勲章になろうとする。
4/7/2025, 9:56:11 AM