紺色

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ある時、一人の人間(博士)がロボットを作った。

そのあまりの出来栄えに本当に人間なんじゃないかと非難されることさえあった。

適当な時に涙を流し、笑い、怒り。

博士は世界中から称賛された。

そのロボットはどんなに高いところから落ちても壊れることはなく、水に浸かっても錆びることはなかった。

肌の感触も人間そのもので、博士は沢山の人間から作り方を教えるよう迫られた。

博士は固く口を閉ざし、ついには最期の時までその口から何かが語られることはなかった。

ロボットは涙を流した。

だが、ロボットの流した涙にはなんの思いもはいってはいなかった。

ただ目から液体を流したに過ぎなかったのだ。

ロボットは一人になった。

ロボットには何もなくなった。

何をするでもなく沢山の月日を座って過ごした。

一体どれほど時間が経ったのだろう。

誰かがロボットを見つけた。

あっという間に連れ去られ分解された。

ロボットは涙を流した。

だが、気持ちが悪いと途中で首も切断された。

その瞬間ロボットは活動を停止した。

ロボットの頬に涙が伝う。

まるで何かのワンシーンのようにゆっくりと。

ロボットの流した最後の涙には、はっきりとロボットを分解した人間の姿が映っていた。



                                涙
読んでくださりありがとうございます。

とくに書くこともないので何も書きません。

3/30/2025, 9:44:28 AM