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愛と平和を願える年になってしまった

ふと黙祷の後に気づいたその事実は
私の意識をあの日に連れていった



「どうしてもっと優しく出来ないのかな
人との縁と、調和を大切にしなきゃ
人間はひとりじゃ生きていけないんだよ」

あいつの声が聞こえる
ほら、もう目の前にいる

私の反論に対して呆れたように笑って
「まあ、でも若い頃は、そんなもんかな」
と目をつぶったその表情



目を開けるとそこには誰もいなかった
春の雨にうたれる線路が
なんとも言えない香りを放っているだけだ


私がもっと優しくしていたら
私がお前の話を聞いて、
人の心に寄り添っていたら

それか
もう少し早く歳をとって丸くなっていたら
私は今もあの表情を、
間近で見ることが出来たのだろうか

そんなことを考えてもどうしようもない
今のわたしにできることは
私の手に収まる範疇の人々の安寧を祈り、守ること
あいつのあんな表情を引き出すようなことをしないよう務めること
ただそれだけだった

3/11/2023, 6:20:02 AM