お題 待ってて
私には前世、前前世、いや、それよりずっと前の記憶がある。私は古代の時代から死んでは、生まれ変わってを繰り返していた。ある時はギリシャの哲学者に、ある時はアラブの王族に、ある時はイギリスの労働階級に、またある時はアメリカの軍人。といった具合に私は色々な土地に生まれては色々な立場に立ってきた。様々な経験をして一度として同じ人生なんてなかった。しかし、私はどんな立場に生まれようと、どんな場所に生まれようと、必ずしていた事があった。それは一番目の人生での出来事だった。そこで私はある男性と恋仲になり、そのまま結婚をして幸せに暮らしていた。しかし、今よりも更に寿命の短いその頃、その暮らしは早くに終わりを迎えることとなった。私の最後に私より年上でもう死んでしまっていてもおかしくない彼が言った。
「僕は本当は不老不死なんだ。君と一緒にずっといれなくて辛いや。」
と、その言葉を聞いた私は最後に一言
「じゃあ、私が来世に会いに来るからそこまでここで待っていて。」
と言い残して、二周目を迎えた。そして私は現代まで約束を守り続けて来た。そして毎回彼と幸せな人生を過ごした。
私は今回、中東のスラムに生まれた。そこは劣悪な環境で、更に内線を起こっていたようで、私は毎日生きるのも精一杯だった。いつか彼に巡り会えるチャンスが来ると信じて、それをじっと待ち続けた。彼とは入れ違いにならないようにずっと最後に過ごした家で待っててもらう約束だった。だからこそ、自力であの場所に行かなければならない。しかし、遂にそれは叶わなかった。私は兵士の前の前に飛び出し、戦闘に巻き込まれてしまい、死んでしまった。叶うことならもう一回とここまで強く願ったことは二周目以来だろう。目の前に広がる私の血を最後に、唯一彼に会うことのなかった人生は幕を閉じた。
そして私は、日本の東京に生まれた。前回とは打って変わって、食料も、着る服も、お金にも、住む場所も困らなかった。どうやら私は、だいぶ恵まれた環境に生まれたらしい。この地に生まれて20年後私は窓の外にとまる飛行機を見ながらつぶやいた。
「待ってて、今度こそ会いに行くから。」
2/13/2023, 2:30:31 PM