ほろ

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隣に住むお姉ちゃんは、7歳年上。さらさらの黒い髪と、赤いメガネが特徴的な美人さん。僕が小学校低学年の頃からずっと、一緒に登下校してくれている優しい人。
「おはよう」
「おはよう、お姉ちゃん」
だけど、それも今日で最後だ。
お姉ちゃんは来週から東京の大学に行く。いつこっちに戻ってくるか分からない。夏休みとかに帰ってくるかもしれないし、何年も帰って来ないかもしれない。
「…………あのさ、お姉ちゃん」
「ん? どうしたの?」
「……ごめん、なんでもない」
「なぁに、変なの」
お姉ちゃんはクスクスと口に手を当てて笑っている。その姿がキラキラして見える。
本当は、お姉ちゃんと手を繋ぎたかった。でも言えなかった。多分、言ったところでお姉ちゃんはなんの抵抗もなく手を繋いでくれるだろう。だけど、それじゃあダメなのだ。

だから、

「ねえ、お姉ちゃん」
「今度はなあに?」
「僕もきっと、東京に行くね」
お姉ちゃんの目が丸くなる。そしてすぐに、小さい子を見るような目で微笑んだ。
「そっか。じゃあ、待ってるね」
「うん」

だから、待っててお姉ちゃん。カッコよくなって、絶対ドキドキさせるから。

2/13/2024, 11:36:37 AM