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この街に神様がいないことなんて生まれたときから知っているでしょう



 くせのない柔らかい髪の毛。絡められた指先の体温。眼鏡を外したときの眉間の皺。意外と苦いものが得意じゃないこと。なのに、外では格好つけようとするところ。
 全部、愛しいって思ってた。
(ぜんぶ、なにかの間違いならよかったのに)
「どうしてこんなことになったんだっけ」
 曖昧に微笑むあなたが嫌いだ。

「……薄情者め」
「君はそうでなくっちゃ」
 そうやって笑うあなたの横顔が、寂しい。


題・さよならを言う前に

8/20/2024, 11:05:05 AM