次郎

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『秋晴れ』

秋の晴れた空を見ると、

あなたが煙になって、

空に向かった時の事を思い出す。

ずっと晴れていたのに、その時だけは

天気雨だった。


バスの中で、

透き通るような青い空から

涙のような優しい雨が降ってくるのを

眺めていた。


バスの中では、誰も言葉を発さず

あなたのことを心から

みんな悲しんでいるのが伝わってくる。


だけれど、

私は、そんな美しい空を眺めながら

あなたがたくさんの苦しい事から

解放されて、自由になれたのなら

良かったのでは無いかと思った。

あなたが好きだった散歩を

あなたをずっと待っていた愛犬と共に、

こんな素敵な空の中をしているのだろうと

考えると胸を撫で下ろす事が出来た。

これからは、

たくさんの辛い事よりも

自由に楽しい事の方がきっと多くあると。


あなたの泣いている顔を思い出すよりも

あなたが楽しく笑ってくれているのだと

思える方が、

私も嬉しいし、安心して居られる。


私は、あの日と同じように

晴れた空を眺め、あなたを思う。


もうすぐ、5年目の秋がやってくる。


あなたがいなくなった事が

悲しいのは変わらないけれど、

私の人生を全う出来たのなら

また、あなたに会えると信じている。


だって、あなたに会って、

あなたにちゃんと伝えたいから。

伝えられなかった言葉を伝えたいから。


私は私の幸せを見つけれたんだと。

私は、何よりあなたの子供で良かったと。

あなたが私を産んでくれたから、

私は、私の幸せを見つけられたと

伝えられる日を待っていて。

10/18/2024, 3:16:22 PM