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世界にひとつだけ

じゃあ、探しに行ってくる。いつ帰るとも連絡するとも言わず彼は出かけて行った。
待っていろとは言われず、待っているとも言わなかった、そう。そんな仲じゃない。私が心の中だけ。

たまに思う。何を探しに行ったのか。世界にひとつだけのものって、誰が証明するのだろう。
もう何年も経つ。私は望まれて結婚した。側にいておはよう、いってらっしゃい、たたいま、お帰り、お休みが言える、たまにケンカする事が嬉しくて私を望んだ人はそれを喜んでくれる。安心を選んだ私はこの家庭がこの世界にふたつとないものと思う。

誰かや何かと同じは嫌だ。あれもこれも違う。俺は探した。彼女はわかっている。だから、何も言わなかったし言われなかった。ホッとするのと同時に焦りも感じた。
それが何かはわからなかった。何年経ったのか。一人は楽だ。満天の星空を見ていると自分が無数の星の一部になった気持ちになる。
あぁ、世界にひとつだけというのは俺も含めたすべてを言うのかもしれない。ものじゃない。当たり前な事か。
なくして初めてわかる。ひとりだ。星がキレイだ。

9/9/2024, 10:06:40 PM