透月燈

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この話には、実は隠しエンドがあった。
これは、もうひとつの物語──。

勇者の冒険記が終わってから早3年。
僕、ディアリーはヒール役として勇者ナイトを支えた。男装し騎士団に入り、何年も鍛錬を重ね、勇者のヒール役に任命されたのだ。

今となってはとても懐かしい、楽しくも、大変でもあった7年間にも渡る冒険。
途中で深い傷を負った勇者様を必死で回復させたっけ、と思い出しながら懐かしむ。
きっと誰もが勇者様を尊敬し、崇めるだろう。他でもないこの国を救ったのだから。

でも僕は違った。
勇者様に恋心を抱いてしまったのだ。
僕らのパーティメンバーは今も同室で暮らしているのだ。勇者を見かける度にドキドキしてしまう。

今までパーティメンバーの親友でしかなかったからきっと迷信に違いない──。僕はこの気持ちを隠すことにした。

この気持ちに素直に向き合えるようになるのは、また何年か先のことだろう──。
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お題:もうひとつの物語/懐かしく思うこと
前日分のお題も消費させていただきます。

10/30/2024, 10:12:23 PM