狼月

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お題 / 幸せとは
タイトル / その時間こそが

ここは懺悔室。自らの過ちを告白し魂を浄化するための場所。今日もまた過ちを犯した人間が来たようです。

[…こんにちは]

「こんにちは」
「あなたの罪を、聞かせていただけますか?」

[はい…]
[僕には仲のいい友人がいました。彼にはスポーツの才能があり、将来は良きスポーツ選手になるだろうと期待されていました。]
[ですが、僕が引き起こしたとある事故で彼は足に深い傷を負いました。]
[そのせいで彼はスポーツができなくなりました。]
[それからの彼はいつも元気がなく、まるで別人のようでした。]
[1度声をかけてみたんです。そしたら彼は、僕のせいで今まであった幸せを全て失ったと。そう言っていました。]

「…」

[どうやら僕は彼の幸せを奪ってしまったようです。]

「…それは、辛かったですね。お友達であれば尚更。」
「懺悔したいのは、傷つけてしまったことに対してですか?それとも、お友達から幸せを奪ってしまったことに対してですか?」

[…原因は傷つけたことですが、彼の幸せを奪ってしまったことに対しての方がずっと聞いていて苦しかったです。]

「では、その気持ちを素直に伝えてみましょう。」

[はい…]

[僕の罪を、お許しください…]

「あなたの罪を、許します。」

[…]
[…あの]

「?はい」

[最後に一つだけ、聞いてもいいですか?]

「大丈夫ですよ」

[幸せとは、なんでしょう…]

「…難しいことを聞きますね」
「幸せの形は人それぞれ違うとはよく言ったもので、誰にも幸せの基準を定義することはできません。」

「誰かにとっては、ある人を応援することが幸せ。ある人は努力が結果になることが幸せ。またとある人は誰かと笑い合うただの日常が幸せ。」

「そうやって、人によって幸せの基準や状況は変わります。」
「それに、幸せはある一瞬で壊れてしまうような脆く儚いものです。」

「だから、その幸せを大切に壊れぬよう考え守ろうとしている時間こそが真の幸せなのかもしれませんね。」

「まぁ、これも私1人の意見なのであまり参考にはできないかもしれませんが…」

[いえ、ありがとうございます。]
[なんだか自分の世界が少し広がった気がします。]

「それは良かったです」

[本当に、ありがとうございました。]

1/4/2026, 2:35:22 PM