羽苑

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後ろから気配を感じる。
後ろを確認してみたいが怖くて後ろを向くことが出来ない。
今までは気のせいかもと思い無視していたがだんだん足音が聞こえるくらい近づいてきた。流石に近すぎる。
今では微かに呼吸の音も聞こえる。気持ち悪い。
そう思った瞬間私は走り出していた。
ひたすら家に向かって走った。
だが家に着く直前、私が後ろを振り返った瞬間に後ろから追いかけてきていた何者かにナイフのようなもので刺された。

そこで私の目は覚めた。
なんだ夢だったのか。生々しかったから勝手に現実かと思っていた。気分が悪いから水でも飲みに行こう。
そう思いベッドから降りようとした。
しかし、床に足がついた時に違和感を感じた。
何だか床が妙に柔らかい。そう思い床を見ると
おじさんの血だらけの死体が転がっていた。
そのおじさんの顔には傷が付いていた。
私はその死体の頬の傷に見覚えがあった。
その傷は私が目が覚める直前に見た傷だった。
私が死ぬ前に見た傷は文字のようだった。

’’ひとゴロし’’

この言葉がナイフで引っ掻いたような傷跡として
おじさんの顔に残っていた。
不自然にもおじさんの顔だけには血が一切
付いていなかった。
その姿はまるで
右頬に刻まれたその言葉を見せつけるかのようだった。

12/4/2024, 1:17:27 PM