もうすぐ俺の時間がくる。
俺は所謂、吸血鬼というもので、陽がのぼっている時間帯は外を出歩くなんてことはできない。
目が潰れるとかの話ではなく、大火傷とかの話でもなく、本当に存在できなくなるのだ。
目の前で消えていった友人を何体も見送った。
沈み行く夕日を屋敷の真っ暗な空間のカーテンの隙間から溢れでている一筋の紅い光で確認する。
明るいうちの外はどんな姿なのだろう。
始まりを告げる朝焼けは?
静寂を告げる夕日は?
陽とは無縁の俺ではあるが興味がない訳ではない。
でもその興味や好奇心は、消えるほどに値するのだろうか。
俺は細くなって行く夕日の筋を見ながら、ぼんやりそんなことを思った。
沈む夕日、始まる俺の時間、今日もまた夜の帳がおりる。
【沈む夕日】
4/7/2023, 10:57:12 AM