部屋に充満する紅茶の香りに
事務所に入るなり僕は顔をしかめる。
応接室でもある部屋に紅茶がでるのは
決まってあの女がやってきたときだ。
僕はドカリと椅子に腰掛ける。
自然とため息がもれた。
窓から景色を眺めていた僕の雇い主の男は
そんな僕を一瞥して愉快そうに笑う。
「さあ、仕事だ。給料分は働いてもらうからね」
給料分だって?
あの女がもってきたトラブルだ。
間違いなく僕の給料を上回る業務量と
やっかいごとだろう。
僕はもう一度ため息をつくと
テーブルに無造作に置かれた書類に手をのばした。
10/27/2022, 2:37:10 PM