少女N

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あの入道雲はいつ消えてしまうのだろう。

そんな感覚で雲を見るようになったのは、最近のこと。
朝会話する母親。
散歩道で出会うおじいさん。
そして、見上げた空にあった入道雲。
全部全部、いつかはいなくなってしまうのだと思い、心がきゅうと泣く。

小さい頃から分かっていたはずだった。
昨日までお話していたひぃじいちゃんのお葬式に参加したこともあるし、仲良くしていた友達の名前を新聞で見かけたこともあった。

幼稚園児の癖に、大人ぶって読んでいた新聞で「また遊ぼう」と約束をして手を振りあった友達の名前を見つけてしまった時。
たくさんの鶴を折って、その子の写真の前に置いた時。
その頃は、「死んでしまう」ということが分からなかったから、涙も出なかったけれど。

小学生になってから、可愛がっていたハムスターが冷たくなって動かなくなったのを見て、初めて「死ぬ」ということを理解した。

理解してしまった。

「死ぬ」のは悲しいことなんだと。

それからほんの少しだけ「死」が怖くなった。

でも、その時の私は「自分もいつか死んでしまうんだ」と受け入れることができた。

「死」を実感したことなどなかったから。



途中



『入道雲』

6/29/2024, 12:42:49 PM