四季に目に見える変化があるのは、日本特有らしい。
外国では、寒暖の差はあるもののほとんど景色に変化がなく、明確に四季を分けるのは珍しいことなのだ。
日本で春と言えば、やはり桜だろう。外国でも桜は見られるらしいが、気候や土壌の関係で、日本とは少し違った色合いになるそうだ。
薄桃色。桜色。白色。
私たちにはもう見慣れたそれも、他国の人の目には違うように映っているのだろう。時々、一眼レフを構えて桜を撮る外国人を見かける。
オーストラリアからの留学生に、一度「何で桜の写真を撮るの?」と聞いてみた。
確かに綺麗だとは思うけれど、正直に言えば他の花だって良いような気もする。現に、お花見で本当に花を見ている人なんていない。
彼は、少し考えるように頭上を見やると、笑って言った。
「綺麗だし、それに、春が来たって感じがするよ」
成程な、と思った。
確かに、春を表すのに桜は打って付けだろう。入学式などの祝詞には、必ずと言っていいほど桜が使われている。桜があるだけで、春という季節を思い浮かべるのだ。
これは、桜だけではないと思う。春を連想させる言葉は、きっと他にもある。
そう考えると、桜を散らす雨も、びゅうびゅう鳴る強風も、スニーカーの裏に付く花弁も、春の一つだ。
今日も、春が一つ花開く。
お題『春爛漫』
4/10/2024, 12:41:25 PM