たぶん、あれが初恋だったと思う。小さい頃に見た、ピンクと緑の髪の女の子。お父さんに抱っこをされて、桜の木の下で写真を撮られるあの子は、にこにこ笑っていた。鮮明に覚えているのは、その時僕が、彼女を春の妖精さんだと思ったこと。桜と同じ色のその髪は、周囲と彼女の境界を曖昧にするようだった。後で両親に聞いても、そんな子は見ていないと言われたから、本当の妖精だったのかなと、桜の季節になる度に思い出す。
5/8/2024, 10:53:59 AM