27(ツナ)

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「揺れる木陰」

休日の公園で彼を見かけた。
一人で木陰に隠れるように座って、本を読んでいる。

先月、隣のクラスに転校してきたばかりの男の子。都会から越してきたその子は、端正な顔立ちで、なんだか妙に雰囲気があって一瞬見ただけで記憶に残るような、そんな子だった。

しばらく彼を眺めていると、風がそよいで木陰が揺れた。
その様はまるで、舞台上でスポットライトを浴びて輝くアイドルのようだった。
その拍子にこっちを向いた彼と目が合ってしまい、しまった!と思った瞬間。
揺れる木陰の下で彼は私に向かって微笑んだ…。

7/17/2025, 10:35:37 AM