すべて物語のつもりです

Open App

 街の明かりはあまりにも無機質で、その冷たさにわたしはなぜか泣きそうになってしまった。
 けれど、その冷たさは、わたしにとってはとても心地よいものでもあるから不思議だ。
 わたしは一体、なにを求めているのだろう。
 わたしが自嘲をこぼしても、すれ違う人達はみんな小さな光に夢中で一瞥をくれることもない。
 そういう世界で、わたしは生きている。そして、これからも生きていくのだ。
 街の明かりは空が何色であろうとも消えないまま、眩しい光に慣れてしまったわたし達を照らしている。

7/9/2023, 4:00:50 AM