宮平和実

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「二人ぼっち」

 外では雨が降っている。まだ止みそうにない。
私は彼と二人、図書室で本を読んでいた。
私が本を読みながら小さな声で笑う。
彼が顔を上げ、私の方を見た。
「その本、面白いんだね。君が読み終わったら読もうかな」と彼は言った。私は頷いた。
「私も、君が読んでいる本が面白そうだから読みたいな」
「うん。この本も面白いよ。君もきっと気に入るよ」
笑い合い、また、本の世界へ戻っていく。
時々、小声で話したり、ページをめくる音が響く。
 今、この図書室では私と彼の二人ぼっち。この世界には、私と彼の二人だけしかいないと思ってしまう。この時間が、ずっと続けばいいのに。


3/21/2024, 12:12:08 PM